障害者グループホームの貴重品管理|資格確認書紛失の実例と預かり台帳

支援・ケース記録
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この記事は、グループホーム(共同生活援助)を運営している方と、これから立ち上げる方の両方に向けて書いています。

利用者から預かっている資格確認書や受給者証が、ある日まとめて無くなったら。何が無くなったのかを、全部言えるでしょうか。

私のグループホームで、それが実際に起きました。帰省から戻った利用者の、通院に使う一式が見当たらない。このとき助けになったのが、預かっているものを書き出しておいた台帳でした。そのときの経過と、台帳に何を書いておけばよいかをお伝えします。

グループホームで預かっている貴重品

私のグループホームでは、通院の支援をしている利用者について、受診に使うものを預かっています。資格確認書(健康保険証の代わりに窓口で見せる書類)、自立支援医療受給者証(障害に関わる医療費の自己負担を軽くする制度の証)、重度心身障害者医療費受給者証(重い障害のある人の医療費を市町村が助成する制度の証)、診察券など。何を預かるかは人によって違います。

全員の分を預かっているわけではありません。ご家族が受診に付き添っている利用者の分は、ご家族の手元にあります。ただ、緊急で受診することもあるので、コピーだけはいただいています。

こうした書類は、預かったら金庫に入れたまま、とはなりません。通院のたびに持ち出しますし、帰省のときはご家族に渡します。本人と一緒に動くものです。そして動くたびに、無くなる機会があります。

実例:帰省の受け渡しで資格確認書など一式を紛失

帰省のときは、通院に必要な一式をポーチにまとめて、ご家族にお渡ししています。帰省先で急に受診することになっても困らないようにするためです。

ある利用者が帰省から戻ったあと、そのポーチが見当たりませんでした。

ご家族に確認すると「本人に持たせました」。本人に聞くと「知らない」。グループホームとしては受け取っていない。三者の話がきれいにすれ違い、まずい状況でした。

その後、ポーチに入っていたものの一部が、本人の居室から出てきました。中身をばらばらにしたうえで、どこかに置いたままにしたか、捨ててしまったようです。

振り返ると、行きは職員からご家族に直接お渡ししていたのに、戻りだけが「本人に持たせる」形になっていました。利用者には知的障害があります。捨ててしまったものがどれだけ大事なものか、再交付にかかる手間等、その重さを実感することが難しかったのだろうと思います。そうであれば、変えるのは受け渡しの方法のほう。今後は戻りも本人を経由せず、職員とご家族が直接やり取りすることにします。

紛失したときに貴重品預かり台帳が役立った理由

無くなったものは、再交付を申請するしかありません。そこで最初に必要になるのが、何が無くなったのかをはっきりさせることでした。ポーチの中身を一つ残らず言えなければ、手続きを始められません。

ここで助かったのが台帳です。少し前に、紙のリストから自作のアプリでの管理に切り替えていて、そのときに預かっているものを全部見直してありました。誰の何を預かっているかが一覧になっていて、持ち出しの記録もつけられます。

台帳を見れば、ポーチに入っていたものはすぐ分かりました。資格確認書、自立支援医療受給者証、診察券・・・記憶をたどって「たぶんこれが入っていたはず」と探らずに済んだのは大きかった。

ここまで分かれば、あとは発行元ごとに申請するだけです。

  • 資格確認書:加入している医療保険の窓口(国民健康保険なら市町村)
  • 自立支援医療受給者証:市町村の障害福祉の窓口
  • 診察券:それぞれの医療機関の受付

職員が代わりに申請するときは、本人の委任状と、職員自身の本人確認書類が必要になります。外で無くした可能性があるなら、警察への遺失届も出しておきます。

貴重品預かり台帳に入れる項目

台帳といっても、難しいものではありません。国が福祉施設向けに出している「マイナンバーカード取得・管理マニュアル」でも、施設で預かる場合の管理の例として、鍵付きの場所での保管と並んで「出し入れした日時などの記録をつける」ことが挙げられています。台帳は、その記録です。

ただ、実際に紛失が起きて使ってみると、自分の作ったアプリに足りないものも見えてきました。

一つは「紛失中」という状態です。持ち出し中のものを紛失中に切り替えようとしたら、そんなボタンがありませんでした。最初から「紛失中」などという不穏なボタンは用意しないですよね。さくっと足して、再交付の手続きをしているものが一覧で見られるようにしました。こういう細かな変更がすぐにできるのが自作アプリのいいところです。起きたことを思うと何とも言えないのですが。

もう一つは保管場所です。何を預かっているかは分かっても、どこにしまってあるかが載っていませんでした。さっと一覧で把握するためにも、あると便利かなと、これも足すことにします。

それを踏まえた、いまの項目がこちらです。アプリでなくても、紙やExcelの一覧で同じことができます。

  • 利用者名
  • 品名
  • 預かった人
  • 状態(預かり中/持ち出し中/紛失中)
  • 持ち出しと返却の記録
  • 保管場所

まとめ

台帳づくりは、やらなければいけないと言われつつ、正直なところ手間のかかる作業でした。何も起きていない間は、ありがたみも見えにくい。けれど無くなったときに「何が無くなったのか」をすぐ言えるかどうかは、台帳があるかどうかで決まります。

そして台帳は、あれば便利というものではありません。利用者のものを預かる以上、何を預かり、いつ誰が出し入れしたかを記録しておくことは、預かる側に求められる管理です。国のマニュアルでも管理の方法として示されていますし、お金の預かりについては、運営指導(行政が事業所の運営を確認する指導)で台帳の整備を指摘された例もあります。

すでに運営している方は、いまの台帳で、預かっているものを全部言えるかを一度確かめてみてください。これから立ち上げる方は、台帳づくりを開所の準備に入れておいてください。預かるものがまだ少ないうちに作り始めれば、手間も小さく済みます。

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