この記事は、グループホーム(共同生活援助)を運営している管理者・運営者の方に向けて、障害福祉サービス受給者証(以下、サービス受給者証)の見方を、実物のページの順番どおりに解説するものです。
サービス受給者証には、基本報酬の単価を決める障害支援区分、いわゆる有効期限である支給決定期間、家賃補助(特定障害者特別給付費)の決定内容、加算につながる記載など、経営に直結する情報が詰まっています。これから立ち上げを考えている方にも、開設後に必ず扱う書類の予習になる内容です。
私自身、開設当初はサービス受給者証を渡されても、どの欄が何を意味するのか読み取れませんでした。今回、手元にある5人分を並べて見比べ、国が市町村向けに出している手引き(事務処理要領)とも照らし合わせています。当時の自分に向けて書くつもりでまとめました。
ホームの運営者が見る欄は、全体の一部です
サービス受給者証は、居宅介護の事業所も、通所の事業所も、相談支援事業所も、同じ1冊を見ます。そのため、ホームには関係のない欄がかなり混ざっています。全部を同じ重さで読もうとすると疲れるうえ、肝心の欄を見落としやすい。
そこでこの記事では、ページごとの見本を3色に塗り分けました。黄色は必ず見る欄、青は人によっては見る欄、灰色はホームでは使わない欄です。まずは黄色だけ追ってください。
なお、国が標準の様式を示しているので、ページの並びはどの市町村もほぼ同じです。違うのは細かい書き方で、その違いも見比べて分かった範囲で書いていきます。
1ページ目 基本情報

最初のページに書かれているのは、「誰の、どの市町村の証明書か」という基本情報です。
受給者証番号(必ず見る)
国民健康保険団体連合会への請求で必ず使う、事業所にとって最も重要な番号です。1桁でも間違えると請求が返戻されます。
国の手引きでは10桁と決められていますが、手元の5人分を見ると、10桁で印字されていたのは2人だけ。5桁の人も、6桁の人もいました。桁数が少なくても間違いではないので、慌てなくて大丈夫です。
返戻になった後のお金の流れは、こちらの記事にまとめています。
氏名、居住地、生年月日(必ず見る)
契約書類と突き合わせる基本情報です。ここは5人分を見比べても、書き方に違いはありませんでした。
障害種別と交付年月日(人によっては見る)
障害種別は、数字で書く市町村と、「知的」のように文字で書く市町村があります。数字の場合は、1が身体、2が知的、3が精神、4か5が難病等です。
交付年月日は、サービス受給者証を実際に交付した日。有効期限の始まりの日ではないので、期限は後ろのページで確かめます。
児童の欄(ホームでは使わない)
18歳未満の利用者について、保護者に支給決定した場合に使う欄です。ホームの入居者では空欄になっています。
支給市町村名(必ず見る)
どの市町村が支給決定したかを示します。
記載内容で困ったときの問い合わせ先は、グループホームの所在地の自治体ではなく、このサービス受給者証を交付した市町村です。援護の実施者はあくまで支給決定した市町村です。
2ページ目 介護給付費の支給決定内容

ページをめくると、支給決定されたサービスの一覧が出てきます。一覧は「介護給付費」と「訓練等給付費」に分かれていて、共同生活援助が載っているのは訓練等給付費のほう。2ページ目の介護給付費に、共同生活援助は出てきません。
それでもこのページを飛ばせないのは、障害支援区分がここに書かれている人がいるからです。
障害支援区分と認定有効期間(必ず見る)
区分は、このページに載っている人と、4ページ目に載っている人がいます。手元の5人分でも、1人は2ページ目が空欄で、4ページ目にだけ区分が書かれていました。国の手引きでどちらか一方に書けばよいとされているためです。片方が空欄でも、もう片方を見れば載っています。
サービス種別、支給量等、支給決定期間(人によっては見る)
居宅介護、生活介護、短期入所などを併用している人だけ、記載があります。併用サービスがない人は空欄です。
3ページ目は2ページ目の続きで、介護給付のサービスが多い人のための欄。ホームの入居者では、何も書かれていないのが普通でした。
4ページ目 訓練等給付費の支給決定内容 共同生活援助はここ

ホームの運営者にとって、いちばん長く見るページです。
障害支援区分と認定有効期間(必ず見る)
区分1から区分6まであり、共同生活援助の基本報酬の単価に直結します。認定の結果が「非該当」と書かれている人や、区分認定を受けておらず「-」となっている人もいます。
区分には、支給決定期間とは別に、区分そのものの認定有効期間があります。2つの期限が並走しているイメージで、両方の管理が必要です。
サービス種別(必ず見る)
「共同生活援助」と書かれた行を探します。手元の5人分では、「グループホーム」と印字している市町村もありました。どちらも同じ意味です。
支給量等(必ず見る)
共同生活援助は毎日暮らす場所なので、「当該月の日数/月」と書かれています。
この欄で見落としたくないのが、日数の横や下に添えてある一言です。手元のものには「重度障害者支援加算対象者」や「特定障害者特別給付費対象者」といった記載がありました。加算や家賃補助の手がかりが、ここに書かれていることがあるわけです。
ただし、添え書きがあるかどうかは市町村しだい。家賃補助に該当している人は3人いるのに、ここに「対象者」と書かれていたのは2人だけでした。書かれていないから対象外、とは言えません。家賃補助の正式な記載は、次の5ページ目にあります。
支給決定期間(必ず見る)
いわゆる有効期限です。
就労継続支援B型などの行(人によっては見る)
日中の通所先の分が、同じページに並びます。通所系サービスの支給量は「当該月の日数から8日を控除した日数」と書かれるのが標準で、31日ある月なら23日までという意味。ホームの請求には使いませんが、期限だけは一緒に見ておきます。サービスごとに期間が違うことがあるためです。
5ページ目 計画相談支援と、家賃補助の欄

5ページ目には、性格の違う2つの欄が上下に並んでいます。
計画相談支援給付費の支給内容(人によっては見る)
支給期間、担当の相談支援事業所の名前、モニタリング期間が載っています。モニタリング期間には、実施する月が括弧書きで入ります。その利用者の相談支援事業所がどこか、次のモニタリングが何月かを確かめたいときに見る欄です。
特定障害者特別給付費の支給内容(必ず見る)
いわゆる家賃補助、正式には特定障害者特別給付費(補足給付)の決定内容です。生活保護世帯や低所得世帯の利用者の家賃に対して、月額1万円を上限に支給されます。
欄は2段になっていて、上の「施設入所支援」は入所施設の分なので、ホームでは使いません。見るのは下の「共同生活援助又は重度障害者等包括支援」で、支給額と適用期間が書かれています。適用期間は1年ごとの見直しで、6月30日で区切るのが原則。期間が切れていないかも合わせて見てください。
この欄に支給額の記載がなければ、補足給付は請求できません。4ページ目に「対象者」と添え書きがあるかどうかではなく、この欄で判断します。対象になるはずの利用者なのに空欄だった場合は、利用者側の申請手続きが漏れている可能性があるので、入居契約時に必ず確認してください。
6ページ目 利用者負担に関する事項

利用者が支払う1割負担について書かれたページです。
負担上限月額(必ず見る)
利用者が1か月に支払う自己負担の上限額です。0円、9,300円、37,200円のいずれかが記載されており、生活保護世帯と市町村民税非課税世帯は0円。
気をつけたいのは、グループホームの入居者には9,300円がないことです。9,300円は課税世帯のうち所得が一定以下の人の区分ですが、グループホームの利用者はこの区分から除かれていて、課税世帯なら37,200円になります。作業所だけを使っていたときは9,300円だった人が、入居をきっかけに37,200円へ変わることがある。入居前から通所を使っている人ほど、注意して見たい欄です。
適用期間(必ず見る)
負担上限月額にも期間があり、適用開始日から次の見直し予定日の前日までが記載されます。負担上限月額は前年の収入をもとに年1回見直すもので、国の手引きでは、支給決定期間が1年を超える場合は6月30日で区切るのが原則。7月に金額が変わることがあるのは、このためです。
なお、ここに印字された適用期間内でも、負担上限月額は7月から変わることがあります。実際に返戻2件になった経緯は負担上限月額が7月に変わった実録に書きました。ここで確認した自己負担額を実際にいつ徴収するかは、自己負担金の徴収タイミングの記事にまとめています。
食事提供体制加算(ホームでは使わない)
通所先での食事代の負担を軽くする加算の対象かどうかを示す欄です。ホームの請求では使いません。
上限額管理(必ず見る)
負担上限月額と食事提供体制加算の欄の下に、欄が2つ並んでいます。
一つは「利用者負担上限額管理対象者該当の有無」。同じ月に複数の事業所を使っていて、1割負担の合計が負担上限月額を超える可能性があると市町村が判断した人に、「該当」と記載されます。ここでいう複数の事業所とは、事業所番号が別という意味。同じ法人のホームと作業所でも、事業所番号が別なら複数の事業所です。
負担上限月額が0円でない人が、全員「該当」になるわけではありません。合計が上限に届かない見込みの人は、「非該当」と記載されます。
もう一つは「利用者負担上限額管理事業所名」。各事業所の利用者負担を取りまとめて、合計が上限を超えないよう調整する事業所の名前が入ります。どの事業所が担当するかには順番があり、第1順位がグループホームなどの居住系サービス(体験利用を除く)。利用者から頼まれなくても、ホームが上限額管理者になる決まりです。
ただ、自動的に事業所名が載るわけではありません。「利用者負担上限額管理事務依頼(変更)届出書」の事業者欄をホームが書き、利用者がサービス受給者証を添えて市町村に出して、はじめて事業所名が記載されます。入居者が「該当」になっているのに事業所名が空欄なら、届出がまだということ。載っていないときは、そのままにせず確認が必要です。
1割負担がかかるのは、介護給付費と訓練等給付費の欄に載っているサービスです。計画相談支援と地域相談支援には利用者負担がありません。取りまとめた金額を実際にどう分けるかは、利用者負担額の計算と上限額管理の記事に書きました。
家賃や食費などの実費とは別に利用者負担が発生するのかどうかは、入居契約時の重要事項説明にも関わる情報です。
特記事項欄と予備欄(人によっては見る)
専用の欄がない事項を、市町村が書き込む場所です。加算の対象であることをここに書く市町村もあるので、何か書かれていたら読み飛ばさないでください。
加算につながる記載 重度障害者支援加算
サービス受給者証には、重度障害者支援加算の対象であることが記載されている場合があります。
障害支援区分の認定調査では、行動関連項目という項目の点数が把握されます。加算(Ⅱ)の対象は、区分4以上で、この合計点数が10点以上の人。加算(Ⅰ)の対象は、区分6で、重度障害者等包括支援の対象になる状態の人です。どちらも、事業所の体制要件を満たしてはじめて算定できます。
国の手引きでは、この記載は4ページ目の、共同生活援助の「支給量等」に書くことになっています。私のホームの利用者も、ここに書かれていました。ただし、文言は市町村によって違い、特記事項欄に書く市町村もあります。まず4ページ目の支給量等を見て、なければ6ページ目の特記事項欄を見る、という順番が確実です。
加算は事業所側の人員配置や研修修了などの要件を満たして初めて算定できるものなので、記載があれば即請求できるわけではありません。ただ、対象者がいると分かっていれば、体制を整えて算定を目指すという経営判断ができます。知らなければその判断すらできません。
サービス受給者証に見慣れない記載や点数を見つけたら、そのままにせず、交付した市町村の障害福祉担当課に意味を確認してください。加算につながる情報かもしれません。
事業者記入欄 サービス受給者証は事業所が書き込む書類でもある

サービス受給者証の後半には、事業所が書き込むページがあります。読むだけの書類ではなく、事業所が書き込む書類でもあるのです。事業所が書き込む欄なので「事業所記入欄」と探す方もいますが、様式上の名前は「事業者記入欄」です。
ここで迷いやすいのが、事業者記入欄がサービスの種類ごとに分かれていること。ホームが書くのは「療養介護・共同生活援助・施設入所支援事業者記入欄」で、手元のものでは11ページ目でした。その手前にある「生活介護・自立訓練・就労移行支援・就労継続支援事業者記入欄」は、通所先が契約支給量や契約日を書くページ。ホームが書く場所ではありません。
ホームが書くこと(必ず書く)
利用者が入居したら、事業者と事業所の名称、入居日を記入します。名称は法人名とホーム名の両方。退居したときは、同じ欄に退居日を書き込みます。事業者確認印の欄は、ある市町村とない市町村がありました。
記入したら、契約内容報告書で市町村に遅滞なく報告するのが国の決まりです。市町村の判断で報告書を省略している場合もあります。
通所先のページ(人によっては見る)
ホームは書きませんが、その利用者がほかにどの事業所と契約しているかが分かります。上限額管理で、取りまとめる相手の事業所を確かめたいときに役立つページです。
実地指導で確認される欄です
そしてこの欄は、実地指導で確認されます。
私のホームに実地指導が入ったとき、指導員の方から「1名の方のサービス受給者証を確認させてください。この欄は記入してありますか」と、まさに事業者記入欄を指定して求められました。契約時にサービス受給者証のコピーを取って保管していたので、その場ですぐに提示できました。
サービス受給者証は入居契約時と更新のたびに必ずコピーを取り、利用者ごとにファイルして保管してください。実地指導で提示を求められたときに、その場で出せるかどうかが問われます。
書式は自治体ごとに違う 5人分を見比べて分かったこと
ページの並びはどの市町村もほぼ同じですが、書き方には違いがあります。手元の5人分だけでも、次の違いが見つかりました。
- 受給者証番号の桁数(5桁、6桁、10桁)
- 障害種別の書き方(数字か、文字か)
- 障害支援区分が載っているページ(2ページ目か、4ページ目か)
- サービス種別の書き方(共同生活援助か、グループホームか)
- 家賃補助や加算の添え書きがあるかどうか
- 事業者確認印の欄があるかどうか
複数の自治体から利用者を受け入れているホームでは、サービス受給者証ごとに読み方が微妙に違うのが普通だと思ってください。分からない記載があれば、そのサービス受給者証を交付した市町村に確認するのが一番確実です。
まとめ サービス受給者証チェックリスト
最後に、この記事の内容を、入居契約時と更新時に使えるチェックリストにまとめます。
- 受給者証番号を契約書類と突き合わせたか
- 障害支援区分と、区分の認定有効期間を確認したか(2ページ目になければ4ページ目)
- 4ページ目で共同生活援助の支給決定期間を確認したか
- 4ページ目の支給量等に、加算や家賃補助の添え書きがないか
- 併用サービスと通所先の期限を確認したか
- 5ページ目で家賃補助の支給額と適用期間を確認したか
- 6ページ目で負担上限月額と適用期間を確認したか
- 上限額管理の「該当」の有無と、事業所名に自分のホームが載っているかを確認したか
- 特記事項欄に、見慣れない記載がないか
- 入居後、ホームの事業者記入欄に名称と入居日を記入したか
- サービス受給者証のコピーを取って保管したか
- すべての期限をアプリやカレンダーなどの仕組みに登録したか
サービス受給者証は、報酬の単価、加算の可能性、家賃補助、期限管理と、経営に直結する情報が詰まった書類です。時間のあるときに、利用者全員分のサービス受給者証を並べて、1ページ目から見返してみてください。
書類の確認漏れや届出漏れが資金繰りに直結した実例は、こちらに書いています。
おまけ 私がサービス受給者証を全員分見返したきっかけ
最後に少しだけ裏話です。この記事を書いたきっかけは、サービス受給者証の期限管理でした。利用者の人数が増えて、支給決定期間や障害支援区分の認定有効期間を頭の中で管理しきれなくなり、期限切れが近づくと知らせてくれる管理アプリを自作したのです。
そのアプリに入力するため全員分のサービス受給者証を1枚ずつ見返したことが、この記事の元になっています。


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