自立支援医療が未申請だった生活保護の入居者|申請から受給者証が届くまで

支援・ケース記録

この記事は、グループホーム(共同生活援助)をすでに運営している管理者・サービス管理責任者の方に向けた体験談です。生活保護を受給している入居者の医療費関係の手続きで、私が実際に「あれ?」となった記録を残しておきます。

精神科に通院しているのに、自立支援医療が未申請だった

先日、生活保護を受給している方がうちのホームに入居されたのですが・・・。

入居後、書類や通院状況を整理していたときに気づいたことがあります。この方、精神科に通院しているのに、自立支援医療(精神通院医療)の申請が済んでいなかったのです。

生活保護の方は医療扶助があるので、医療費の自己負担は基本的に発生しません。「じゃあ自立支援医療なんて申請しなくてもいいのでは?」と一瞬思いそうになりますが、そうではありません。

生活保護は「他法優先」。使える制度は先に使う

生活保護には「他法優先」という考え方があります。生活保護以外に使える制度があるなら、まずそちらを申請・活用して、それでも足りない部分を生活保護でカバーする、という順番です。

なので、精神科に通院している生活保護受給者の場合、「自立支援医療の申請ができるなら、そちらを申請してください」ということになるのだそうです。福祉事務所のケースワーカーさんからも、そのように案内がありました。

医療費の窓口負担が変わるわけではないのですが、制度の建て付けとして必要な手続き、ということですね。

候補になった2つの制度

精神科通院がある方の場合、当てはまりやすいのは次の2つかなと思います。

  • 自立支援医療(精神通院医療)
  • 重度心身障害者医療費助成制度(自治体によって名称が異なります)

このうち重度心身障害者医療費助成制度は、生活保護受給者が対象になるかどうかが自治体によって分かれるそうです。今回の方について自治体に確認してみたところ、この方は対象外とのことでした。

というわけで、今回は自立支援医療(精神通院医療)のみを申請しました。

届いたのは受給者証だけ。管理票がない?

申請からしばらくして、自立支援医療受給者証が届きました。

ここでひとつ、私が一瞬焦った話です。

自立支援医療といえば、受給者証自己負担上限額管理票をセットで持って通院するイメージがありました。ところが、届いたのは受給者証だけ。

ちなみにこの2つ、役割がそれぞれ違います。

受給者証:自立支援医療の受給資格があることを証明するもの。医療機関の窓口で提示します
自己負担上限額管理票:月ごとの自己負担額を医療機関や薬局が支払いのたびに記入していく記録票。複数の医療機関・薬局をまたいで、その月の累計額が上限に達したかを管理するためのものです

 

「あれ?管理票が入っていない。何か不備があったのかな?」と焦りました。

調べてみると、自己負担上限額管理票は、自己負担額が発生する人にだけ交付されるものなのだそうです。

生活保護受給者の場合、自立支援医療の自己負担上限月額は0円。自己負担が発生しないので、管理票もそもそも必要ない、というわけです。

これまで関わってきた方が自己負担のある方ばかりだったので、受給者証と管理票はセットだと思い込んでいました。考えてみればそうだよね、と納得しつつ、いい勉強になりました。

自立支援医療(精神通院医療)とは

ここで簡単に、自立支援医療(精神通院医療)についても触れておきます。

自立支援医療(精神通院医療)は、精神疾患で継続的な通院医療が必要な方の医療費の自己負担を軽減する制度です。通常3割の窓口負担が原則1割になり、さらに所得に応じて月ごとの自己負担上限額が設定されます。

対象となる医療機関や薬局は指定されたものに限られる、有効期間があり更新手続きが必要、といったポイントもありますが、詳しい制度内容や個別のケースについては、市区町村の窓口や相談支援専門員などの専門職に確認するのが確実です。この記事はあくまで「現場でこういうことがあった」という一運営者の記録として読んでいただければと思います。

まとめ:入居時に確認しておきたいこと

【今回の学び】

  • 生活保護受給者でも、精神科通院があるなら自立支援医療(精神通院医療)の申請が必要になる場合がある(他法優先の考え方)
  • 重度心身障害者医療費助成制度は、生活保護受給者が対象になるかどうか自治体によって異なるので、個別に確認する
  • 生活保護受給者は自己負担上限月額が0円のため、自己負担上限額管理票は交付されない。受給者証だけ届いても慌てなくて大丈夫

生活保護の方が入居されるとき、「医療費は医療扶助でカバーされるから大丈夫」と思って、医療系の制度確認が後回しになりがちです。

そして、これは今回私が実感したことですが、複数の支援機関が関わっているケースでも、「自立支援医療の申請状況」を誰かが確認してくれているとは限りません。それぞれの機関にはそれぞれの守備範囲があって、医療費まわりの申請状況は、意外とどこの守備範囲にも入っていないことがあるようです。

だからこそ、毎日の生活に一番近いグループホーム側が、入居時のチェック項目に「精神科通院の有無」「自立支援医療の申請状況」を入れておく意味があります。実際、今回申請につながったのも、入居後にホーム側で書類を整理していて気づいたのがきっかけでした。

わからないことは福祉事務所や市区町村の窓口に確認しながらで大丈夫です。私もそうやってひとつずつ覚えている最中です。

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