障害者グループホーム(共同生活援助)を運営している人と、これから立ち上げる人に向けて、利用者負担額の計算の話を書きます。
うちの法人には、ホームのほかに就労継続支援B型(雇用契約を結ばずに働く場を提供する通所サービス)の事業所があります。自宅からそこに通うだけの利用者には、毎月9,300円の利用者負担額を請求していました。金額は毎月同じです。
だから、負担上限月額が37,200円の入居者が増えたときも、同じ調子で上限の額を請求すれば済むと思っていました。ところが違った。毎月金額が変わる。しかも同じ法人なのに、ホームと通所先から別々に請求が出るのです。
請求の計算は本部の事務担当がしています。けれど、利用者や家族に説明するのはホーム。「なぜ毎月違うのか」「なぜ2か所に払うのか」を自分の言葉で言えないと困るので、仕組みを整理しました。
利用者負担額は「1割」と「負担上限月額」の低いほうで決まる
グループホームで利用者からいただくお金は2種類あります。家賃や食材料費、光熱水費などの実費と、障害福祉サービスの利用者負担額。この記事で扱うのは後者です。
利用者負担額は、その月にかかったサービスの費用(総費用額)の1割。ただし所得に応じて、ひと月の上限(負担上限月額)が決まっています。1割の額と上限を比べて、低いほうがその月の負担額になります。
上限は4つの区分に分かれています。
- 生活保護世帯:0円
- 市町村民税非課税世帯:0円
- 市町村民税課税世帯で所得割16万円未満:9,300円
- それ以外の課税世帯:37,200円
ここで一つ、入居者に特有の決まりがあります。9,300円の区分からは、グループホームの利用者が除かれている。厚生労働省の説明では、入居者は課税世帯なら37,200円の区分になるとされています。
つまり入居者の上限は、基本は0円か37,200円のどちらか。自宅から通所だけを利用していたときに9,300円だった人も、入居すれば37,200円の区分です。
自分の上限がいくらかは、市町村が発行する障害福祉サービス受給者証に書いてあります。
通所だけの利用者は、毎月9,300円で終わっていた
自宅から就労継続支援B型に通うだけの利用者で、上限が9,300円の方がいました。ひと月通うと、総費用額の1割は9,300円を超えます。だから負担額は上限の9,300円で、毎月同じ額でした。
利用する事業所は1か所なので、ほかの事業所と数字を合わせる必要もありません。説明は「毎月9,300円です」で終わり。請求する側も払う側も、迷うところがありませんでした。
37,200円の入居者は、ホームの1割だけでは上限に届かない
入居者の多くは非課税世帯なので0円で、計算そのものが要りません。計算が必要になるのは、課税世帯の入居者を受けたときです。
上限が37,200円なら、通所だけの利用者と同じように、毎月上限の額を請求すればいい。私はそう思っていました。
ところがホームの1割は、うちの場合、障害支援区分にもよりますが37,200円に届きません。届かないときは、1割の額がそのままホームでの負担額になります。
ホームの総費用額は、利用した日数で変わります。帰省や入院で泊まらない日があれば、その月の負担額は下がる。31日ある月と28日の月でも違う。毎月金額が変わるのは、このためでした。
これから始める人は、課税世帯の方から入居相談を受けたら、家賃や食費のほかに、この負担が月37,200円までかかりうることを先に伝えておいてください。
そして、ホームで上限に届かなかった残りの枠は、日中の通所先に回ります。
ホームと就労継続支援B型で負担を分ける、上限額管理の計算
入居者の多くは、ホームのほかにもサービスを使っています。うちの利用者なら、ホーム、日中に通う就労継続支援B型、それに計画相談支援(サービス等利用計画を作る相談支援)の3つ。
このうち利用者負担があるのは、ホームと就労継続支援B型の2つです。計画相談支援は利用者負担がないので、計算には入りません。
その2つの事業所で、負担額の合計が上限を超えないように調整する。これが上限額管理(利用者負担上限額管理)です。
事業所のうち1か所が「上限額管理事業所」になり、ほかの事業所の負担額を集めて計算します。どの事業所が担うかにはサービスの種類による優先順位があり、グループホームなどの居住系サービスが第1順位。うちもホームが担当です。
合計が上限を超えた場合は、優先順位の高い事業所から順に、上限に届くまで負担額を充てていきます。
入居者の場合、計算の順番はこうなります。
- ホームの総費用額から1割を出す
- 通所先の総費用額から1割を出す
- 2つを足して、上限の37,200円と比べる
- 合計が上限以下なら、それぞれの1割がそのまま負担額
- 合計が上限を超えたら、ホームの1割を先に充て、残りの枠を通所先の負担額にする
作り物の数字で見てみます。
ある月、ホームの総費用額が25万円、通所先が14万円だったとします。1割は25,000円と14,000円で、合計39,000円。上限を1,800円超えるので、ホームが25,000円、通所先は残りの12,200円になります。
別の月は帰省が多く、ホームが20万円、通所先が15万円。1割は20,000円と15,000円で、合計35,000円。上限に届かないので調整はなく、そのまま20,000円と15,000円です。
同じ人でも、合計が37,200円ちょうどの月と、それより少ない月がある。ホームと通所先の内訳も毎月動きます。
入院が重なって、ホームの利用も通所も数日だけ、という月もあります。その月も、それぞれの1割を、それぞれの事業所に払う。数百円ずつでも、請求は2枚です。
もう一つ面倒なのが、通所先の1割が出そろわないと、ホームの請求も確定しないこと。国民健康保険団体連合会への請求は翌月10日までなので、月初の数日でこのやりとりを済ませることになります。
同じ法人でも請求は2枚になる。利用者と家族への説明
うちはホームと就労継続支援B型を同じ法人で運営しています。それでも事業所としては別々で、利用者負担額は事業所ごとに確定します。だから利用者への請求も、ホームの分と通所先の分に分かれる。
払う側から見れば「同じところに払うのに、なぜ2枚なのか」となります。「毎月いくらですか」と聞かれても、一律の金額では答えられません。
説明に入れておくことは4つです。
- サービスの負担は使った分の1割で、月37,200円が上限
- ホームの分を先に数え、残りの枠が通所先の分になる
- 泊まった日数と通った日数で、金額は毎月少しずつ変わる
- 請求は2枚になるが、合計が37,200円を超えることはない
入居前の説明では「毎月いくら」ではなく、「多い月で37,200円、月によってそれより少なくなる」と伝えておくと、あとの請求と食い違いません。
負担のある入居者を受ける前に確かめておくこと
- 受給者証の負担上限月額と適用期間。課税世帯の入居者なら、37,200円になっているかを見る
- 日中に通う事業所など、ほかに契約している障害福祉サービスがあるか。受給者証の支給決定の欄と事業者記入欄で見る。あれば上限額管理の対象になる
- 上限額管理事業所の届出が済んでいるか
- 金額が毎月変わることと、請求が2枚になることを、利用者と家族に先に伝えたか
上限を超えて利用者からお金を受け取らないようにするのは、事業所の責任です。上限額管理はそのための仕組みで、届出や計算が抜ければ請求は返戻(差し戻し)になり、利用者に余分な負担をさせることにもなります。
0円の入居者ばかりのうちは、一度も触れないまま過ぎていく計算です。負担のある人が1人入った時点で、通所先の事業所と、数字をいつ、誰が、どう渡すかを決めておいてください。

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