先日、ホームに一本の電話がありました。利用者さんが送迎車のドアに指を挟んでしまったようです、という連絡です。
この記事は、グループホーム(共同生活援助)を運営している管理者・サービス管理責任者の方に向けて、怪我や急な体調不良が起きたときの受診判断について、うちのホームでの考え方と実際の対応を書いたものです。後半の医療機関の事前準備の話は、これから開業を考えている方にも参考になるかと思います。
利用者さんの日常を預かるということは、こういった日常で起きうる怪我への対応も引き受けることだと私は思っています。通院には対応せず、こうした対応も家族に任せるという事業所もあるようですが、うちは基本的にホームの方で対応する方針です。
世話人に「判断の責任」を負わせない
うちでは、怪我や体調の異変があったときは、基本的に報告・連絡・相談(報連相)でお願いします、と世話人たちに伝えています。迷ったら連絡、ではなく、迷わず連絡です。
なぜかというと、「腫れていなかったし、大丈夫だと思いました」と現場の世話人が判断してしまうと、気づいたときには患部が黒くなっていて、腫れ上がっていて、でも夜だから医療機関が開いていない、ということが起こり得るからです。その判断の責任を、世話人に負わせてはいけないと思っています。
連絡があればすぐに駆けつけますし、すぐに行けない状況なら、写真で患部を確認したり、近くにいる判断のできるスタッフを動かしたり、といった対応をとります。判断するのは管理者側、現場は迷わず連絡する。この役割分担をはっきりさせておくことが大事だと思っています。
「大丈夫かな」と思っても、結構さっさと病院に連れて行きます
ドアに指を挟んだといった外傷は、大丈夫かなと思っていたら後で骨折していた、ということが結構あります。なので、見た目には大丈夫そうに見えても、私は割とためらわずに病院へ連れて行ってしまいます。大丈夫かどうかの判断は、医師に任せる。これがうちのスタンスです。
今回のケースは土曜日の午後で、幸いまだ開いている診療所があったので駆け込みました。レントゲンを撮ってもらい、骨折はなし、打撲のみとの診断。ここでようやく一安心です。
これがもし夜間や日曜日で、すぐに受診できない状況だったらどうか。様子を見て翌日でいいのか、それとも何とか開いている医療機関を探すのか。かなり難しい判断になっていたと思います。怪我や体調不良への対応は、毎回本当に難しいなと感じています。
受診をためらう気持ちは、正直あります
通院対応をすると、スタッフが一人そちらに取られてしまいます。臨時対応になるので、何とか様子見で乗り切れないかな、自分の怪我だったら様子を見ちゃうけどな、と考えてしまうことは正直あります。「この程度で受診するの?」と言われるかもしれない、という気持ちもよぎります。
それでも私は、悩むくらいだったらさっさと診せてしまえ、と連れて行く判断をすることが多いです。
実際にこんなこともありました。就労継続支援事業所(通所先)で転倒したと引き継ぎを受けた利用者さんが、転んでから時間が経っているにしては痛がり方が強い気がする。念のため病院に行ったら、骨にヒビが入っていた。そういうことが実際にあるのです。
夜間・休日に備えて、医療機関の情報を「すぐ見られる形」にしておく
うちの近くの診療所には、幸いにも内科から外科まで診てくださる医師がいて、とても助かっています。そうでなければ、内科はどこ、外科はどこ、ここが休診のときはどこ、と、状況ごとに考えなければいけません。
さらに、生活保護を受給している利用者さんの場合、医療機関によっては受診を断られることがあり、選べる受診先がより限られてしまいます。
だからうちでは、こうした医療機関の情報をあらかじめ印刷して、誰でもすぐに見られるようにしています。
医療機関リストに入れておくとよい情報
- 内科・外科それぞれのかかりつけ医療機関と診療時間
- 各医療機関の休診日と、休診時の代わりの受診先
- 夜間・休日に対応している救急医療機関
- 生活保護(医療扶助)で受診できるかどうか
- 利用者さんごとの保険情報・受給者証の保管場所
いざというときに調べ始めるのではなく、迷わず動ける状態を平時に作っておく。これが夜間・休日対応の不安をかなり減らしてくれます。
まとめ:「大丈夫だろう」ではなく「もしかしたら」で動く
ホームとして責任を持って利用者さんの生活を預かっているのなら、「大丈夫だろう」ではなく、「もしかしたら」で動けるようにしておくことが大切だと私は思っています。
今日から見直せる3つのポイント
- 現場スタッフには判断させず、迷わず連絡のルールを徹底する
- 受診を迷ったら「悩むくらいなら診せる」を基本方針にする
- 医療機関リストを印刷して、誰でもすぐ見られる場所に置いておく
受診の判断は、結果的に空振りでもいいのです。骨折を見逃すことに比べたら、打撲のみの診断をもらって一安心する方が、ずっといい。同じように迷っている管理者の方の、判断の後押しになれば嬉しいです。


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