グループホームの夜勤給与、目で見て分かるシミュレーターを作りました

AIで運営を楽にする

この記事で伝えたいこと

この記事は、グループホーム(共同生活援助)を運営していて、夜勤のシフトや給与のルールを自分で組んでいる管理者・運営者の方に向けて書いています。これから立ち上げを考えている方にも、夜勤の人件費がどういう仕組みで決まるのかを体感する材料として使っていただけると思います。

前半では、夜勤のルールを考えるときの全体像──福祉制度側と労働基準法側、二つの側面から見るという考え方──を整理します。そして記事の後半に、夜勤給与を目で見て確かめられるシミュレーターを置いています。無料で、登録も何も要りません。

深夜割増、文字では知っていても計算でつまずいた

グループホームを運営していると、夜勤のシフトと給与を自分で組む場面が出てきます。

そこで私がつまずいたのが、深夜割増でした。「22時から翌5時は時給が25%増える」と文字では知っていても、では20時から翌8時の夜勤だと割増部分はいくらなのか。休憩を深夜0時から3時に入れたら、金額はどう変わるのか。電卓で計算しようとすると、途中で頭がこんがらがってくるんですよね。

表計算ソフトで作ろうかとも思ったのですが、数字の羅列を見てもピンとこない。私が欲しかったのは、時間の帯を目で見ながら、動かして確かめられる道具でした。

夜勤のルールは、二つの側面から考える必要がある

夜勤の体制づくりで私が実感したのは、夜勤には二つのルールの世界がある、ということです。

一つは福祉制度側の世界です。夜間に職員を配置して夜間支援等体制加算を取るなら、加算の要件に沿った体制と支援の実態が求められます。

もう一つは労働基準法側の世界です。職員を夜間に働かせる以上、深夜割増、休憩、労働時間といった労働法のルールを守らなければなりません。

この二つは、見ている方向が違います。福祉制度側は「入居者にどんな支援を提供する体制か」を見ていて、労働基準法側は「職員をどう保護するか」を見ています。だから、片方だけ見てシフトを組むと、もう片方で引っかかることがあります。

ここで大事なのは、両方の側面を踏まえたうえで「うちのホームではこうする」と自分たちのルールを決めておくことだと思っています。細かい論点まで詰め始めるとキリがないのですが、まず全体像をつかんで、それから自分のホームの運用を一つずつ決めていく。この記事とシミュレーターは、その最初の「全体像をつかむ」ための道具です。

割増のルールをおさえる

労働基準法側で夜勤の給与に直接効いてくるのが、割増のルールです。

  • 深夜割増は、22時から翌5時の労働に対して25%増し。夜勤なら必ず発生します
  • 時間外(残業)割増は、法定の8時間を超えて働いた部分に対して25%増し
  • この二つは重なると合算になります。8時間を超えた労働が深夜帯にかかっている場合、その部分は時間外25%+深夜25%で50%増し

夜勤は勤務時間が長くなりがちなので、シフトの組み方によってはこの50%ゾーンが発生します。

文字で読むと単純に見えますが、実際のシフトに当てはめると「どこからどこまでが何%増しか」が意外と追いづらい。そこで、目で見て確かめられるシミュレーターの出番です。

それなら、さわって分かるシミュレーターを作ればいい

というわけで、夜勤給与のシミュレーターを作りました。このページの下に置いてあります。

使い方は簡単です。

  • 時給と勤務時間を入れると、1日の時間の帯(タイムライン)が出てきます
  • 22時〜翌5時の「深夜割増ゾーン」には色が付いているので、勤務のどの部分が25%増しになるのか一目で分かります
  • 青い勤務バーは上下のつまみで伸び縮みします
  • 休憩のブロックは指でドラッグして、好きな時間帯に動かせます
  • 動かした瞬間に、画面下の「夜勤1回の給与」と「月収の目安」が変わります

たとえば「休憩の位置が変わると、給与はどこがどう変わるのか」を、電卓を叩かずに指1本で確かめられます。休憩が深夜帯にかかるかどうかで割増の対象時間が変わる、という仕組みそのものが、動かしてみると頭に入ってきます。

法律の最低ラインも一緒にチェック

もうひとつ、シフトを組むときに気にしなければならないのが休憩のルールです。労働基準法では、実働6時間を超えるなら45分、8時間を超えるなら60分の休憩が必要とされています。

このシミュレーターは、休憩が足りない組み方をすると黄色い注意が出るようにしました。金額と法律の最低ラインを同時に見ながら試行錯誤できます。

経営側の方向けに、社会保険料などの会社負担分を上乗せした「会社の人件費のめやす」も出るようにしてあります。

シミュレーターはこちら

夜勤給与かんたんシミュレーター

勤務バーと休憩ブロックを動かすと、下の金額がその場で変わります。夜勤のルールづくりの試行錯誤にどうぞ。

基本設定

勤務の組み立て(さわって動かせます)

通常の勤務 深夜割増 +25% 休憩(無給)

■ 青いバーの上下のつまみで勤務時間を伸び縮み ■ 休憩ブロックは指でドラッグして移動(15分きざみ)

計算結果(1回あたり)

実働時間
うち深夜帯(22時〜翌5時)
休憩合計(無給)
基本給(時給 × 実働時間)
深夜割増(+25%)
法定福利費(会社負担・15%)
会社の人件費めやす(1回)
回の会社人件費

※ あくまで目安の簡易計算です。実際の給与は職場の規定・契約内容をご確認ください。

  • 深夜割増は22時〜翌5時の勤務に時給の25%を上乗せしています(労働基準法の深夜割増)。
  • 休憩は置いた時間帯のとおりに差し引きます。深夜帯に置いた休憩は、その分の深夜割増も発生しません。
  • 税金・社会保険料は含まれていません(手取りではなく総支給の目安です)。
  • 法定休憩チェックは労働基準法の最低ライン(実働6時間超で45分・8時間超で60分)の目安です。
  • 法定福利費(会社負担)は率をかけただけの概算です。実際の負担は加入状況・料率で変わります。

一例の数字で計算を追ってみる

シミュレーターを開いた時点で、一例として20時から翌8時までの勤務、深夜0時から3時に休憩、という組み方が入っています。

この場合、時間の帯はこう分解されます。

拘束時間は20時から翌8時までの12時間。そこから休憩3時間を引いて、実働は9時間です。

深夜帯(22時〜翌5時)は7時間ありますが、そのうち0時〜3時は休憩なので、深夜割増が付くのは22時〜0時と3時〜5時の計4時間です。休憩には給与が発生しないので、深夜帯にかかっていても割増の対象にはなりません。

さらに、実働9時間なので、法定の8時間を超えた1時間分には時間外割増が付きます。この勤務では実働8時間に到達するのが朝5時。つまり5時〜6時の1時間が時間外です。この時間帯はすでに深夜帯を抜けているので、割増は時間外の25%のみ。もし、8時間到達が深夜帯の中に食い込む組み方にすると、その部分は時間外+深夜の合算で50%増しになります。

まとめると、この勤務1回の内訳はこうなります。

  • 通常時給の部分が4時間(20時〜22時、6時〜8時)
  • 深夜割増25%増しの部分が4時間(22時〜0時、3時〜5時)
  • 時間外割増25%増しの部分が1時間(5時〜6時)

電卓でこれを毎回組み立てるのは骨が折れますが、シミュレーター上では休憩ブロックを動かすたびに、この分解が自動で描き直されます。「休憩を深夜帯から外すと深夜割増の対象時間が増える」「実働が8時間を超える位置がどこに来るか」といった仕組みが、数字と色の変化で見えてくるはずです。

使うときの注意

【このシミュレーターはあくまで目安の簡易計算です。実際の給与は、それぞれの職場の規定や契約内容で決まります。】

深夜割増(22時〜翌5時に25%増し)だけを自動計算しています。8時間超の時間外割増はチェックを入れたときだけ加算され、深夜帯と重なる部分は合算(50%増し)で計算します。変形労働時間制など、職場によって扱いが変わる部分は、職場のルールに合わせてください。

【夜間支援等体制加算を取っている場合、夜勤中の休憩時間の扱い(休憩中の支援体制をどう確保するか)は、自治体によって解釈が異なることがあります。休憩を含むシフトを組む際は、指定権者に確認しておくことをおすすめします。】

出てくる金額は総支給の目安で、税金や社会保険料の天引きは含みません。

会社負担(法定福利費)は率をかけただけの概算です。社会保険は加入条件を満たした職員だけが対象なので、実際の負担額は職場の状況で大きく変わります。

きちんとした計算が必要な場面では、社会保険労務士などの専門家に確認してください。

このツールが、夜勤のルールづくりで同じところにつまずいた誰かの役に立てばうれしいです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました