グループホームの利用者はどこから来たのか|開設から2棟目までの記録

グループホーム運営

この記事は、グループホーム(共同生活援助)を運営している管理者・運営者の方と、これから立ち上げたいと考えている方の両方に向けて書いています。

内容は、私のホームの利用者がどこから来て、どう埋まっていったかの記録です。先に書いておくと、私のホームは営業活動をほとんどしていません。それでも、2026年8月現在、定員8名に対して6名が入居しています。営業のノウハウは書けませんが、営業をしないホームがどう埋まっていったかの一例として読んでください。

※入居の経路は立地や事業所の特色に大きく左右されます。ここに書くのは私のケースです。

最初の利用者は法人内の就労継続支援B型から

私の法人は、グループホームより先に就労継続支援B型を運営していました。共同生活援助は、「働きたいが近くに住む場所がない」という利用者の声から始めた事業です。地方では、住まいの確保が就労継続の前提条件になります。

1棟目の利用者は、「良いホームがあれば入りたい」と思いながらB型に通っていた方々が中心でした。

2棟目で最初に入所が決まった方も、まったく同じ流れです。

仕事と住まいはセットです。生活が崩れれば就労は続きません。就労先がなければ、ホームに住み続けることも難しくなります。法人内に日中活動の場があったことが、そのまま最初の入居動線になりました。

相談支援専門員から声がかかるようになった

法人の外から利用者が来るようになったのは、相談支援専門員(以下、相談員)からの紹介が最初です。

相談員は利用者の生活全体をコーディネートします。生活の中でグループホームのニーズが出たとき、自分のホームが認知されているかどうかで、声がかかるかが決まります。

相談員が各ホームの内情まで細かく把握しているとは限りませんが、仕事柄、地域のどこにどんなホームがあるかは認知されています。声がかかったときに、空室の有無、料金、支援の手厚さ、送迎の有無、通院対応、喫煙可否といった判断材料をすぐ出せるかどうかで、「ここなら任せられる」と思ってもらえるかが決まります。

私がやってきたのは、売り込みではなく、この判断材料を正確に伝えることくらいです。それでも、一度信用してもらえると、紹介は回り始めました。

役場から直接相談が来るようになった

私のホームには、役場から直接相談が来ることもあります。

考えてみると、これは少し不思議な話です。行政は本来、特定のホームを紹介する立場ではありません。役場に挨拶に行っても、紹介してくれることはありません。それでも話が来るのには理由があります。

行政に相談が持ち込まれるケースは、生活がすでに破綻しかけていることが多いのです。中には、福祉サービスにつながったことが一度もない方もいました。相談員もついていない、でも今すぐ住む場所がいる。制度を順番どおりに進める余裕がない状態から、かじ取りをしなくてはいけないケースです。

こうしたケースを受けきるのは大変です。ただ、受けきった後の行政との関係性は無視できません。福祉担当者の立場からすると、数多くのホームをすべて把握することはできませんし、本来は紹介する立場でもありません。それでも、困ったときに頼めるホームを1つ知っているかどうかは、担当者にとって大きな違いです。緊急対応を受けるということは、その「頼めるホーム」の枠に入ることなのだと思います。

この枠は、営業で入れるものではありません。目の前の緊急ケースを受けきった結果としてしか入れませんでした。

受けた側として見た、やってはいけない営業

ここで視点を変えます。私の法人はB型事業所も運営しているので、グループホームから営業を受ける側でもあります。受けた営業の中に、反面教師として書いておきたいものがあります。

あるグループホームから営業が来ました。「作業所に通う方でホームを探している人がいれば紹介してください」。ここまでは問題ありません。

「あなたのホームは少し遠いけれど、通所できますか」と聞いたところ、返ってきた答えは次のとおりでした。

「うちのホームは送迎ができません。入居したら、この作業所はやめてもらうことになると思います」

紹介ではなく、ただの引き抜きです。

B型には「ここなら働けそう」と希望して通う方が来ます。入居したら通えなくなるホームは紹介できません。

福祉は横につながっています。信頼関係を壊す営業をする事業所は、すぐに噂になります。

信頼関係を壊す営業は、長期的に見て必ず自分の首を絞めます。

ちなみに、これは1つのホームだけの話ではありません。別々のグループホームの営業担当者が2人、同じことを言ってきました。同じような営業をするホームが近くに2つもあるのかと感じた出来事です。

2026年8月現在の入居状況

この記事を最初に書いた2026年1月時点では、1名がほぼ決定、3室が空いている状態でした。2026年8月現在は、定員8名に対して6名が入居し、残り2室のうち1室では、入居に向けた体験利用の方を受け入れています。

一般募集はほとんどしていませんし、ホームページもないままです。ホームページがなくても埋まった背景には、知的障害の利用者が多いホームという特色があります。知的障害の方の場合、本人がホームページを見て問い合わせてくるケースはほぼありません。相談支援や行政からの紹介など、支援機関が判断してつなぐ流れが中心です。

入居に至った方の典型像は、親の高齢化など家族構成の変化で、在宅生活が立ち行かなくなった知的障害の方です。いわゆる「親亡き後問題」です。家族の状況の変化は地域の中で必ず起き続けるので、相談も構造的に発生し続けます。受け皿として認知されてさえいれば、広告を出さなくても相談は届きました。

ただし、規模を拡大していくにあたり、ホームページなしが永遠に続く前提ではないとも感じています。家族が探すケースは今後確実に増えますし、情報がなければ候補にすら上がりません。いずれは支援のカラーに合ったホームページが必要になると考えています。

まとめ|私のホームが埋まった構造

振り返ると、私のホームの入居経路は3つでした。法人内のB型からの入居、相談員からの紹介、そして行政からの緊急案件の相談です。どれも、営業活動の成果ではありません。

法人としてB型を先に運営してきたことが、そのまま入居の入口になっています。この形は、同じ条件の法人でなければ真似できません。その意味でも、この記事は営業の参考書ではなく、一つの記録として読んでいただければと思います。

共通しているのは、来た相談を断らずに受けきったことと、判断材料を正確に伝えてきたことの2つです。緊急案件を受けきるたびに、相談員と行政の中で「頼めるホーム」として認知され、次の相談につながっていきました。

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