この記事は、グループホーム(共同生活援助)を運営している管理者・運営者の方に向けて、障害福祉サービス受給者証(以下、サービス受給者証)の見方を、実物のページの順番どおりに解説するものです。
サービス受給者証には、基本報酬の単価を決める障害支援区分、いわゆる有効期限である支給決定期間、家賃補助(特定障害者特別給付費)の決定内容、加算につながる記載など、経営に直結する情報が詰まっています。1ページ目から順に「どこに何が書いてあって、運営する側として何を確認するのか」を整理していきます。これから立ち上げを考えている方にも、開設後に必ず扱う書類の予習になる内容です。
私自身、開設当初はサービス受給者証を渡されても、どの欄が何を意味するのか読み取れませんでした。日々の期限管理の中で全員分を見返す機会があり、当時の自分に向けて書くつもりでまとめています。私が分からなくなったときに見直すためのメモも兼ねた記事です。
なお、サービス受給者証の書式やページ構成は市町村によって異なります。この記事は私の手元にあるものをもとにした構成なので、お手元のものと順番が違う場合は読み替えてください。
1ページ目 基本情報

最初のページに書かれているのは、「誰の、どの市町村の証明書か」という基本情報です。
受給者番号
10桁の番号です。国民健康保険団体連合会への請求で必ず使う、事業所にとって最も重要な番号です。1桁でも間違えると請求が返戻されます。
返戻になった後のお金の流れは、こちらの記事にまとめています。
支給決定障害者の氏名、居住地、生年月日
契約書類と突き合わせる基本情報です。
交付年月日と市町村長名
どの自治体が支給決定したかを示します。
【記載内容で困ったときの問い合わせ先は、グループホームの所在地の自治体ではなく、このサービス受給者証を交付した市町村です。援護の実施者はあくまで支給決定した市町村です。】
支給決定内容は「介護給付費」と「訓練等給付費」に分かれている
ページをめくると、支給決定されたサービスの一覧表が出てきます。この欄は「介護給付費」と「訓練等給付費」の2つに分かれています。共同生活援助は訓練等給付費の欄に記載されているので、共同生活援助の情報を確認したいときは訓練等給付費のページを見てください。
介護給付費の欄には、居宅介護、生活介護、短期入所など、利用者が併用しているサービスの種別、支給量、支給決定期間が記載されています。
なお、障害支援区分がこの介護給付費の欄にしか記載されていない自治体もあります。
訓練等給付費の支給決定内容 共同生活援助はここ

共同生活援助が載っているのは、訓練等給付費の支給決定内容の欄です。この記事のもとにしたサービス受給者証では4ページ目にあたります。次の情報が載っています。
障害支援区分
区分1から区分6まであり、共同生活援助の基本報酬の単価に直結します。また、障害支援区分には支給決定期間とは別に、区分そのものの認定有効期間があります。2つの期限が並走しているイメージで、両方の管理が必要です。
サービス種別
「共同生活援助」と記載されます。就労継続支援B型なども訓練等給付費なので、併用していればここに並びます。
支給量等
共同生活援助は毎日暮らす場所なので、「当該月の日数」といった書き方になっているのが一般的です。通所系サービスは「何日/月」のように記載されます。
支給決定期間
いわゆる有効期限です。サービスごとに期間が異なることがあるため、共同生活援助の期間だけ見て安心せず、すべてのサービスの期間を確認してください。
特定障害者特別給付費の欄 いわゆる家賃補助
訓練等給付費の欄の後に、「共同生活援助又は重度障害者等包括支援に係る特定障害者特別給付費」という長い名前の欄があります。いわゆる家賃補助、正式には特定障害者特別給付費(補足給付)の決定内容です。生活保護世帯や低所得世帯の利用者の家賃に対して、月額1万円を上限に支給されます。
【この欄に支給決定の記載がなければ、補足給付は請求できません。対象になるはずの利用者なのに記載が抜けていた、ということが起きうるので、入居契約時に必ず確認してください。記載がない場合は、利用者側の申請手続きが漏れている可能性があります。】
利用者負担に関する事項
6ページ目あたりに、利用者負担に関する事項が載っています。
負担上限月額
利用者が1か月に支払う自己負担の上限額です。0円、9300円、37200円のいずれかが記載されており、生活保護世帯や低所得世帯であれば0円です。
適用期間
負担上限月額にも期間があります。所得の再判定によって変わることがあるためです。
上限額管理
負担が発生する利用者が複数の事業所を利用している場合、上限額管理対象者に該当する旨と、管理を担当する事業所名が記載されます。
家賃や食費などの実費とは別に利用者負担が発生するのかどうかは、入居契約時の重要事項説明にも関わる情報です。
なお、ここに印字された適用期間内でも、負担上限月額は7月から変わることがあります。実際に返戻2件になった経緯は負担上限月額が7月に変わった実録に書きました。ここで確認した自己負担額を実際にいつ徴収するかは、自己負担金の徴収タイミングの記事にまとめています。
加算につながる記載 重度障害者支援加算
サービス受給者証には、重度障害者支援加算の対象であることが記載されている場合があります。
障害支援区分の認定調査では、行動関連項目という項目の点数が把握されます。この合計点数が10点以上の利用者は、事業所の体制要件を満たせば重度障害者支援加算の対象になり得ます。障害支援区分6かつ10点以上であれば加算(Ⅰ)、区分4以上かつ10点以上であれば加算(Ⅱ)の対象です。
私のホームの利用者では、この記載は訓練等給付費の共同生活援助の支給決定内容のところに書かれていました。ただし、行動関連項目の点数や加算対象である旨を特記事項欄に記載する自治体もあり、記載する場所も文言も自治体によって異なります。「この欄を見れば必ず分かる」という決まった場所がないため、サービス受給者証全体に目を通して、見慣れない記載を拾う必要があります。
加算は事業所側の人員配置や研修修了などの要件を満たして初めて算定できるものなので、記載があれば即請求できるわけではありません。ただ、対象者がいると分かっていれば、体制を整えて算定を目指すという経営判断ができます。知らなければその判断すらできません。
【サービス受給者証に見慣れない記載や点数を見つけたら、そのままにせず、交付した市町村の障害福祉担当課に意味を確認してください。加算につながる情報かもしれません。】
事業者記入欄 サービス受給者証は事業所が書き込む書類でもある
サービス受給者証の後半には、事業者記入欄というページがあります。利用者と契約を結んだら、事業所名、事業所番号、契約したサービスの種類と契約支給量、契約日などを、事業所がこの欄に記入します。多くの自治体では、契約内容報告書の提出とセットになっています。サービス受給者証は、読むだけの書類ではなく、事業所が書き込む書類でもあるのです。
そしてこの欄は、実地指導で確認されます。
私のホームに実地指導が入ったとき、指導員の方から「1名の方のサービス受給者証を確認させてください。この欄は記入してありますか」と、まさに事業者記入欄を指定して求められました。契約時にサービス受給者証のコピーを取って保管していたので、その場ですぐに提示できました。
【サービス受給者証は入居契約時と更新のたびに必ずコピーを取り、利用者ごとにファイルして保管してください。実地指導で提示を求められたときに、その場で出せるかどうかが問われます。】
書式は自治体ごとに違う
ここまで私の手元のサービス受給者証をもとに解説してきましたが、書式は全国共通ではありません。色もページ構成も、記載の位置も市町村によって違います。
実際、私が関わっている利用者のサービス受給者証だけでも、障害支援区分が介護給付費の欄にしか記載されていない自治体もあれば、介護給付費と訓練等給付費の両方に記載している自治体もあります。複数の自治体から利用者を受け入れているホームでは、サービス受給者証ごとに読み方が微妙に違うのが普通だと思ってください。
分からない記載があれば、そのサービス受給者証を交付した市町村に確認するのが一番確実です。
まとめ サービス受給者証チェックリスト
最後に、この記事の内容を、入居契約時と更新時に使えるチェックリストにまとめます。
【サービス受給者証チェックリスト(入居契約時・更新時)】
- 受給者番号を契約書類と突き合わせたか
- 介護給付費の欄で併用サービスの種別、支給量、期間を確認したか
- 訓練等給付費の欄で共同生活援助の支給決定期間を確認したか
- 障害支援区分と、区分の認定有効期間を確認したか
- 特定障害者特別給付費(家賃補助)の記載有無を確認したか
- 負担上限月額と適用期間、上限額管理の該当有無を確認したか
- 共同生活援助の欄や特記事項欄などに、行動関連項目の点数や加算対象の記載がないか
- 契約後、事業者記入欄に記入したか
- サービス受給者証のコピーを取って保管したか
- すべての期限をアプリやカレンダーなどの仕組みに登録したか
サービス受給者証は、報酬の単価、加算の可能性、家賃補助、期限管理と、経営に直結する情報が詰まった書類です。時間のあるときに、利用者全員分のサービス受給者証を並べて、1ページ目から見返してみてください。
書類の確認漏れや届出漏れが資金繰りに直結した実例は、こちらに書いています。
おまけ 私がサービス受給者証を全員分見返したきっかけ
最後に少しだけ裏話です。この記事を書いたきっかけは、サービス受給者証の期限管理でした。利用者の人数が増えて、支給決定期間や障害支援区分の認定有効期間を頭の中で管理しきれなくなり、期限切れが近づくと知らせてくれる管理アプリを自作したのです。
そのアプリに入力するため全員分のサービス受給者証を1枚ずつ見返したことが、この記事の元になっています。期限管理アプリについては、別の記事で紹介する予定です。


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