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【本記事は、グループホーム用の物件を探している方、これからグループホーム(共同生活援助)を立ち上げたいと考えている方に向けた内容です。中古戸建ての内見の話ですが、視点としては賃貸・建売・新築でも同じように使えます】
先日、中古戸建ての内見に行ってきました。
私は現在、賃貸の戸建て2軒でグループホーム(共同生活援助)を運営しています。もともと「物件は賃貸で」と考えていたのですが、気になる売り物件に出会ってしまい、実際に見に行くことにしました。
そもそも私が最初から物件を購入せず、賃貸で始めたのには理由があります。最初から物件を買ってしまったり、建ててしまったりすると、実際に運営してみて「ここが使いづらい」という箇所が出てきても、どうしようもないからです。賃貸で実際に運営してみると、仕事のしにくさを感じる場面が具体的に見えてきます。今回の売り物件が「いい」と判断できたのも、賃貸での運営経験があって、比較の物差しが自分の中にできていたからです。
内見をしてみて強く感じたのは、「住める家」と「運営できる家」はまったく別物だということです。今回はその内見の体験をもとに、私がどんな視点で物件を見たのかをまとめます。
内見の視点は「二段構え」で
物件を見るとき、私は視点を二段階に分けています。
一段階目は、ごく一般的な中古戸建てとしての視点です。建物の状態、雨漏りやシロアリの痕跡、水回りの劣化、周辺環境、日当たり。これは普通の住宅購入と同じで、不動産のポータルサイトや書籍にも情報がたくさんあります。
二段階目が、グループホームとしての視点です。これはさらに二つに分かれます。「指定申請の基準をクリアできるか」と「実際に運営が回るか」です。
このうち、指定基準のほう——居室の面積基準(収納を除き7.43平方メートル以上)や間取り、定員に対する部屋数など——は、実は不動産会社の掲載情報でおおむね判断できます。内見に行く前に、図面の段階でふるいにかけられるわけです。
だから、わざわざ足を運んで内見で確かめるべきなのは、一般的な建物の確認事項と、「この家で運営が回るか」のほうです。ここは図面では分かりませんし、一般の内見情報でもまずカバーされません。そして、この視点は中古戸建ての購入に限らず、賃貸でも、建売でも、新築ですら条件は同じです。物件の入手方法が違うだけで、「運営の器として成立するか」の判断基準は変わりません。
なお、基準の話でひとつだけ付け加えると、面積基準はあくまで最低ラインです。私が指定申請の事前相談で書類を送りたいと連絡したとき、行政の担当者から「狭すぎる部屋ではないですよね?最低でも6畳はほしいのですが」と、先に確認されたことがあります。私の物件は全室6畳以上だったので問題にはなりませんでしたが、基準を満たしていても、行政が居室の狭さを気にかけていることが伝わってくるやり取りでした。基準ギリギリの部屋は、制度上は止められないとしても、入居者さんの生活より利益重視の計画と見られかねません。それ以前に、狭い部屋での生活は入居者さん本人が大変です。私は、収納とは別に6畳以上を目安にしています。
グループホーム目線のチェックポイントは4つ
私が内見で実際に見たのは、大きく分けて次の4つです。
1. 居室
まず居室になる部屋の広さです。掲載情報や間取り図の「6畳」を鵜呑みにせず、実際に測る前提で見ます。
これは実体験なのですが、以前、掲載情報の畳数と実際の部屋の大きさが違っていたことがありました。不動産会社の掲載ミスだったのですが、図面や掲載情報も間違っていることがあるのだと、このとき身をもって知りました。だからこそ「掲載情報を鵜呑みにせず、必ず実測する」が私の鉄則になっています。内見にはメジャーを持って行ってください。
また、各居室にコンセントとテレビアンテナの端子があるかも確認しました。入居者さんの生活を考えると、後から増設工事をするのはコストも手間もかかります。
2. 玄関・施錠
居室の扉に鍵をかけられるか、かけられないなら後付けできる扉かどうか。玄関についても、入居者さんが自分で出入りできる施錠方式にできるかを確認します。
グループホームの鍵まわりには、一般の住宅にはない事情があります。複数の入居者さんに加えて、世話人や生活支援員といった職員が入れ替わりで出入りする、という点です。物理的な鍵を人数分用意して管理するのは現実的ではありませんし、職員の交代があるたびに鍵の受け渡しや複製が発生します。
私はこの問題をスマートロックのSwitchBot(スイッチボット)で解決しています。複数の暗証番号やカードキーを設定できるので、入居者さんごと・職員ごとに割り当てられますし、職員が交代したときも番号を消して発行し直すだけで済みます。「入居後の鍵をどうするか」という問題が、これひとつでほぼ解決できてしまうんですね。
私が実際に使っているのはこちらです。ホームでは価格の違う2種類を場所によって使い分けていますが、まず試すならこちらで十分です。
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なので内見では、玄関や居室の扉がSwitchBotを取り付けられる形状かどうかを、けっこう重要なポイントとして見ています。扉の厚み、サムターンの形、扉と枠の隙間。ここが合わない扉だと、鍵の運用を別の方法で組み立て直すことになります。
3. 共用部・生活動線
リビングは、入居者さん全員が集まってもストレスのない広さがあるかを見ます。定員全員がリビングに揃う場面は日常的にありますから、「座れるけれど窮屈」では毎日の生活の質に響きます。
キッチンは、世話人がそれなりの人数分の食事を一度に作る場所です。家庭用の感覚で見ると見誤ります。コンロや流しの数もそうですが、意外と効いてくるのが調理の作業スペースで、盛り付けや配膳を考えると、思った以上の広さが必要になります。
トイレの数は、正直なところ定員4名でも1か所では心もとないというのが実感です。朝の時間帯はどうしても集中しますから、できれば2か所ほしいところです。
もうひとつ、既存住宅でよくあるのが、洗面所と浴室の脱衣所が一体になっている間取りです。この形だと、誰かが入浴している時間帯は洗面所に入れなくなり、歯磨きや洗面のタイミングがぶつかります。できれば洗面所は独立していてほしい。ただ、ここは既存の戸建てでは仕方がない部分もありますので、「一体型なら入浴時間の運用でカバーする」と割り切る判断も必要です。
あわせて、備品や消耗品をどこに保管するかも見ておきます。トイレットペーパーや洗剤などの日用品のストック、掃除道具。置き場所が決まらないと、共用部に物があふれて生活動線を圧迫します。
4. 事務スペース
見落としがちですが、事務作業をする場所の確保です。サービス管理責任者や管理者が記録や書類仕事をするスペース、書類を保管する場所。共同生活援助は書類仕事が本当に多いので、事務機能をどこに置けるかは運営のしやすさに直結します。
この視点は物件の入手方法を問わない
繰り返しになりますが、この4つの視点は、中古戸建ての購入だけでなく、賃貸物件を借りる場合も、建売や新築を検討する場合も、まったく同じように使えます。
むしろ新築や建売のほうが「きれいだから大丈夫だろう」と油断しがちです。きれいなことと、運営できることは別問題です。居室の面積基準を満たさない新築戸建ては普通に存在しますし、事務スペースのない間取りもたくさんあります。
【内見チェックリスト(グループホーム目線)
□ 居室は掲載情報を信じず実測する(基準:収納を除き7.43平方メートル以上)
□ 各居室にコンセント・テレビアンテナ端子はあるか
□ 居室・玄関の扉はスマートロックを取り付けられる形状か
□ 玄関の施錠方式は入居者・複数職員の出入りに対応できるか
□ リビングは定員全員が集まってもストレスのない広さか
□ キッチンに人数分の調理ができる作業スペースはあるか
□ トイレは2か所あるか(定員4名でも1か所は心もとない)
□ 洗面所は浴室の脱衣所から独立しているか
□ 備品・消耗品の保管場所を確保できるか
□ 事務作業と書類保管のスペースを確保できるか】
まとめ:内見は「住む家」ではなく「運営の器」を見に行く
内見に行くと、どうしても普通の家探しの感覚に引っ張られます。日当たりがいいとか、キッチンが新しいとか。それ自体は悪いことではないのですが、グループホームの物件として見るなら、判断の軸は「ここで運営が回るか」です。
これから物件を探す方は、不動産会社との内見の前に、上のチェックリストをスマートフォンのメモに入れておくことをおすすめします。内見の現場は意外とバタバタして、見るべきものを見忘れます。私も一度、メジャーを忘れて居室の実測ができず、二度手間になりかけました。
物件は運営の土台です。「住める家」ではなく「運営できる家」かどうか、二段構えの視点で見てきてください。


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