「誰かがやってくれる」は通用しなかった――入居前支援者会議の現場記録

グループホーム運営

はじめに|この記事の目的

新しくグループホームに入居予定の利用者さんに関する、入居前の支援者会議に参加しました。

支援者会議というと、必要なことが整理され、誰かが調整してくれる場──そんなイメージを持たれがちです。
しかし実際には、待っているだけでは何も進まないという現実がありました。

この記事では、入居前支援者会議の実体験を通して、運営者が自ら動く必要性と、連携の本当の意味について記録として残します。

※支援者会議とは、入居に関わる関係機関(福祉課、相談支援専門員、家族、事業者など)が集まり、支援内容や役割分担を確認する場です。


1.支援者会議前に立てていた見通し

まず、会議に参加する前に私が持っていた前提です。

今回の支援者会議は、Aさんのグループホーム入居に向けたものでした。Aさんは障害のあるご兄弟と自宅で生活していましたが、生活破綻のリスクが高く、福祉課の関わりをきっかけに入居の話が進みました。

事前情報では、障害年金があり、資産もあるとのこと。金銭管理の課題はあっても、「後見人を立てれば何とかなるだろう」と考えていました。
お金がない状態を立て直すのは難しいですが、資産があるなら取れる選択肢は増えます。

また、在宅からグループホームへ移行するケースでは、生活面の見通しが立てにくい点も想定していました。作業所での様子から、職員配置を手厚くすれば対応できそうだと判断し、契約書類や準備物の案内を整えて会議に臨みました。

しかし、実際に会議が始まると、この見通しは大きく揺らぐことになります。


2.「誰かが把握している」は思い込みだった

会議の中で明らかになったのは、誰も全体像を把握できていないという事実でした。

障害年金は支給されていると聞いていましたが、実際には申請すらされていませんでした。資産についても、「お金はあるらしい」「大丈夫だと思う」といった曖昧な共有にとどまっていました。そして区分認定もされているが、出ていない状態。

🟥 なお、区分認定がなければ、制度上、事業者は報酬を受け取ることができません。
🟥 運営の継続という現実も、無視できない要素でした。

この段階で、受け身で待っていても状況は動かないと理解します。


3.運営者として主導を取ると決めた理由

行政が個人の資産管理まで踏み込むのは難しい。それは制度上、当然のことです。

一方で、明らかに支援が必要な状況であることも事実でした。
そこで、ホーム入居を進めるために、こちらが主導を取ると決めました。

・区分認定後の日付で入居予定日を再設定する
・資産状況は家族の話を鵜呑みにせず、自分で確認する
・障害年金申請と後見人手続きを並行して進める

これは善意だけの判断ではなく、運営を守るための現実的な判断でもあります。


4.自分の目で確認して初めて見えた現実

各支援者や家族の入居に対する温度感は、会議で把握できました。
しかし、生活状況や資産状況は依然として不透明でした。

そこで、そのまま自宅を訪問し、生活状況と通帳を確認しました。ものが散乱した部屋の中から複数の通帳が出てきました。資産自体は確認できましたが、出入りの多さから将来的な生活破綻のリスクも見えました。

皆が言っていたこと自体は間違っていなかったようです。
ただ、一次情報を自分の目で確認できたことで、次の判断が明確になったのは確かです。


5.運営者こそ、保身のために連携する

確認した情報は、相談支援専門員と福祉課に共有しました。

これは支援のためであると同時に、「知らなかったでは済まされない状態」を共有するという意味もあります。
言い換えれば、保身です。ただ、この保身はとても重要だと感じています。

本来、グループホームは資産管理を担う立場ではありません。
それでも、管理できる人がいないと分かっていて見過ごすことはできませんでした。

🟨 相談し、記録を残し、連携の形を取ること自体がリスク管理になります。


6.これから運営する人へ

支援者会議は、誰かが整えてくれる魔法の場所ではありません。
参加しているだけで支援が進むこともありません。

それでも、人が動けば、状況は確実に前に進みます。

受け身ではなく、運営者自身が現実を引き受ける覚悟を持つこと。

今回の支援者会議は、そのことを強く実感する機会でした。


おわりに|正直な気持ち

本当は、ホームの中のことだけに注力できるといいなと思っていました。

生活を立て直す「場」として、新しい暮らし方に慣れてもらい、その中でできることを少しずつ増やしていく。
それが自分の役割だと考えていたからです。

ただ実際には、本来の権限を超えたところまで動かされていると感じる場面が多くあります。
制度の隙間や、誰も担い手になれない部分が、そのまま運営者に落ちてくる――そんな現実も見えてきました。

それでも、必要だと感じるなら動きたいと思っています。
そのために、知識も人脈も広げていきたい。

これは理想論ではなく、現場でやっていくための選択です。

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