はじめに
ホーム1棟目が満室になり、2棟目の立ち上げが現実のものになったとき、私が一番悩んだのは「今、人を増やすべきかどうか」でした。
人件費、人員配置、現場オペレーション、管理者の負担。どれも正解がなく、数字も十分に揃っていない状態。
この記事は、「この条件・この情報量の中で、私はこう考えて判断した」という思考ログを整理したものです。
正解を示す記事ではありません。同じ立場にいる人が、自分の判断材料を整理するための“参考資料”になることを狙っています。
現在のグループホームの状況
🟨 1棟目:定員4名(賃貸戸建て)→ 満室
🟨 2棟目:賃貸戸建てを確保済み → 定員4名予定
🟨 2棟間の距離:徒歩約3分
1. そもそも、何を判断しなければならなかったのか
グループホームは、4人定員1棟だけでは安定した利益が出にくい事業形態です。ある程度の規模にならなければ、入ってくる報酬より人件費が上回りやすい。
そのため、2棟目の立ち上げは「やるかどうか」ではなく、いつやるかの問題でした。
問題はここからです。
🟨 法令上の人員配置は、管理者が現場に多く入ることでギリギリ満たしている
🟨 しかし「法令上OK」と「現場が回る配置」はまったく別
🟨 2棟目は物理的に離れているため、今の職員数ではオペレーションが破綻する可能性が高い
そこで突きつけられた問いが、
今、人を増やしていいのか?
2. 数字が分からないままでは判断できない
正直に言うと、私はこれまで
🟦 利用者さんの預かり金管理 → 丁寧にしなくちゃ
🟦 国からの報酬 →「ちゃんと入ってきている」で済ませていた
という状態でした。
元手資金に余裕があり、通帳残高も大きく減っていなかったため、深く見ていなかったのです。
ただ、
🟥 数字が苦手だから
🟥 忙しいから
という理由で人を雇う判断をするのは、生活の場を預かる事業として許されない。
だからこそ、「完璧じゃなくていいから、判断できる数字」を出す必要がありました。
3. 「正確さ」を一度、捨てる
ここで私は、ひとつ割り切りました。
正確な数字を出そうとするのをやめる
理由は3つあります。
🟨 いきなり細かく把握しようとすると時間がかかる
🟨 途中で投げ出す可能性が高い
🟨 それでも判断は待ってくれない
そこで、
正確さは捨てる
代わりに「限りなく正確に近い、荒い数字」を使う
という方針に切り替えました。
4. 判断のために使った「荒い数字」
直近の数値
🟨 直近の月の報酬:約130万円
🟨 1か月の人件費:約120万円
本来であれば、
🟦 半年〜1年分の平均
🟦 帰省日数などの変動要因
🟦 国保連の入金タイミング(申請から約3か月後)
を考慮すべきですが、今回は概算を出すことを最優先しました。
人を増やした場合
ちょうど給与計算のために職員の労働時間を整理していたため、
🟨 各勤務帯に職員が1人入るといくらかかるか
🟨 今、管理者が埋めている部分をすべて職員に置き換えたらどうなるか
を計算。
その結果、
人員増加で月約40万円の人件費増
という数字が見えてきました。
5. 数字から見えてきた「走れるライン」
ここまでを整理すると、
🟨 報酬:130万円
🟨 現在の人件費:120万円
🟨 人員増加後:+40万円
130万円 − (120万円+40万円) = ▲30万円/月
さらに、
🟨 利用者が入るまでの家賃:約▲10万円/月
を加えると、
月▲40万円の赤字
この状態で、
🟨 どれくらいの期間走れるか
🟨 その間に利用者確保ができそうか
を現実的に考える必要がありました。
6. それでも「人を増やす」と判断した理由
これまでは、
🟨 管理者が現場に多く入る
🟨 できるだけ人件費を抑える
というやり方で回してきました。
しかし、2棟目以降はフェーズが変わります。
ここからは、人に任せる段階
だと判断しました。
7. 利用者区分と、黒字に転じる目安
国からの報酬は、利用者区分によって大きく変わります。(※体感ベースです)
🟦 区分2:10万円台
🟦 区分3:20万円台
🟦 区分4:30万円台
この前提で考えると、
🟨 区分2 → 3人ほしい
🟨 区分3 → 2人で可
🟨 区分4 → 1人入ればかなり楽
という目安が見えてきました。
あとは、早期に利用者確保へ動けるかどうかが勝負になります。
8. 赤字を覚悟してでも、人を厚くする理由
「利用者が決まってから人を増やせばいいのでは?」
そう考えることもできます。
ただ、私はそうしませんでした。
理由は、
🟥 新しいホームには必ずトラブルが起きる
🟥 支援体制を整えるには、管理者が動ける余白が必要
🟥 管理者が新ホームにつきっきりになると、既存ホームのトラブルを見逃す
初動で問題を見逃すと、
🟥 あとから一気に大きな問題になる
可能性が高いと考えたからです。
9. 今時点での結論
🟨 現時点の資金で「1年間は走れる」と判断
🟨 早期の利用者確保が最大のカギ
10. 同じように迷っている人へ
立ち上げ期に感じた不安は、拡大期、複数棟運営でも、形を変えて必ず戻ってきます。
「空室が続いたらどうしよう」「この判断、間違っていないか」
その不安を完全に消すことはできません。
ただ、荒くても、完璧じゃなくても、自分が納得できる数字を一度置くことで、判断はしやすくなります。
この記事が、その判断をかんがえるための一例になれば幸いです。


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