グループホームは市民税・県民税申告をどこまで代行するのか|「なんとなく」をやめる制度整理

グループホーム運営

市民税・県民税申告書が届いた

住所がグループホームになっている利用者さんあてに、
「市民税・県民税申告書」が届きました。

毎年この時期になると発生する、あの書類。

これだけに限りませんが、行政書類の手続きって地味にめんどうですよね。
頻繁にあるわけではないからこそ、流れを忘れがちで、毎年「これ、どうだったっけ?」となりやすい。

今回は、

🟨 市民税・県民税申告書ってそもそも何のためのものか
🟨 その手続きをグループホームが代行する位置づけ
🟨 「なんとなくやっている」状態がなぜ危ういのか

このあたりを、制度と現場の両方から整理してみたいと思います。

グループホームの「地味だけど大事な仕事」

グループホームの仕事というと、

  • 食事
  • 洗濯
  • 服薬管理
  • 金銭管理の見守り
  • 日常生活の声かけ

こうした“生活そのもの”を支えるイメージが強いと思います。

ですが、実際に生活していく以上、
行政手続きは切り離せません。

たとえば、

  • 障害福祉サービス受給者証の更新
  • 医療費助成や各種減免申請
  • 家賃補助関係
  • 生活保護の収入申告
  • 市民税・県民税申告
  • 確定申告
  • 障害年金申請
  • 後見人申立て

……書き出すと、意外と多い。

「ここまでホームがやるものなのか?」
そう感じたことがある運営者さんも少なくないと思います。

なぜホームが関わることになるのか(現場の実情)

理屈の前に、現場の現実があります。

多くの利用者さんは、

  • 書類の内容を理解することが難しい
  • 期限管理ができない
  • 自分で役所に行くことができない

こうした事情を抱えています。

次に頼れる存在としてご家族が思い浮かびますが、

  • 遠方に住んでいる
  • 高齢で手続きが難しい
  • そもそも関係が希薄、またはいない

というケースも珍しくありません。

結果として、
日常生活を一番把握しているホームが間に入らざるを得ない
という状況が生まれます。

🟥 「やらなければサービスが使えない」
🟥 「申請しないと減免が受けられない」

そうなると、避けて通れない業務になるのです。

「なんとなくやっている」になりやすい危うさ

行政手続きは地味で、手間がかかります。

そのため現場では、こんな気持ちが頭をよぎりやすくなります。

  • 本人のことだから支援外では?
  • 代行しているのだから、料金をもらってもいいのでは?
  • 専門職(行政書士など)に任せるべきでは?

実際、こうした考え方をしている事業所も存在します。

ですが――制度上は、これらはすべて誤りです。

法的にはどう位置づけられているのか

グループホームにおける行政手続き代行については、
厚生労働省のガイドラインや運営指導Q&Aで明確に位置づけられています。

ポイントは一つ。

社会生活上必要不可欠な行政手続きは、支援として代行する義務がある

ということです。

つまりこれは、

  • 善意でやっていることでも
  • サービス外の“おまけ業務”でもなく

制度上、グループホームの通常業務として定義されています。

金銭に関わる場合は、
本人への説明・同意・記録を取る必要はありますが、
「やるかやらないか」を選べる業務ではありません。

代行手数料を取ってはいけない理由

この点については、運営指導でもはっきり示されています。

運営指導Q&Aでは次のように整理されています。

🟨 行政手続き代行は施設の義務として明確に位置づけられている
🟨 その費用は介護給付費(報酬)に含まれている

🟥 したがって、実費以外の手数料を利用者から徴収することは不適切

という判断です。

つまり、

  • 「代行だからオプション」
  • 「特別対応だから別料金」

という扱いはできません。

個別性のある支援であっても、
基本報酬の中で提供すべき支援とされています。

市民税・県民税申告は“税金の話”ではない

市民税・県民税申告書は、毎年2月頃に市区町村から発送されます。

対象となるのは主に、

  • 前年に所得があった人
  • 年末調整をしていない人
  • 無職や年金のみの人

などです。

ここで重要なのは、
🟨 この申告は「税金を払うため」だけのものではないという点です。

申告内容をもとに、

  • 非課税判定
  • 家賃補助
  • 利用料軽減
  • 国保減免

といった生活に直結する制度が判断されます。

🟨 つまりこれは、税務手続きではなく、生活を継続するための基盤づくりの手続き

と言っても過言ではありません。

🟥 やらなければ、本来受けられる支援を失う可能性があります。

その意味で、市民税・県民税申告は
グループホームの通常業務として位置づけられるべき手続きです。

実際に行っている対応

正直に言えば、書類仕事は苦手です。
それでも、やらないという選択肢はありません。

行政書類を作りつつ、本人の理解度に応じて説明をし、代行した書類に関しては利用者さん毎に一覧表を作成しています。

🟦 「本人確認なく勝手に提出していない」
🟦 「いつ・何を・どこに出したかが後から分かる」

この記録が、あとになって支援全体を整理する際に役立つことも多いです。

やってみて感じたこと

文字が読めない利用者さんもいます。
内容を理解できない方もいます。

それでも生活は続いていきます。

制度が使える状態を維持すること。それ自体が、生活支援なのだと改めて感じました。

ご家族の協力が得られればもちろん助かります。
けれど、制度上ホームの業務として位置づけられている以上、
「やらなければならない支援」であることは変わりません。

目に見える支援ではありませんが、
確実にその人の暮らしを支えている仕事だと思います。

まとめ|見えにくいけれど、確かに運営の一部

🟨 行政手続き代行はグループホームの業務の一部
🟥 実費以外の代行手数料は徴収できない
🟨 サービスが利用できる状態を維持すること自体が支援である

食事や掃除のように目立つ仕事ではありません。

けれど、
こうした手続きがあるからこそ、
利用者さんの生活は成り立っています。

見えにくいけれど、確かに運営の一部。
それが行政手続き支援なのだと思います。

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